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【森雅史の視点】2022年8月27日 J1リーグ第27節 川崎フロンターレvs鹿島アントラーズ

J1リーグ第26節 川崎 2(2-0)1 鹿島
19:03キックオフ 等々力陸上競技場 入場者数 20,757人
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川崎フロンターレがJ1に昇格したあと、鹿島アントラーズ戦を川崎は「K点超え」とプロモーションしていた。それほど川崎と鹿島の間には差があると思われていたのだ。だが2005年9月、ホームで初めて勝利を収めるとその後はこの試合の前までリーグ戦で川崎は鹿島に19勝8分9敗と、すっかり川崎は鹿島をお得意様にした。そして鹿島にとって川崎はリーグ戦で唯一負け越している相手でもある。

 

そんな相性の悪さもあったのだろうか。8分、家長昭博がPKを決めて川崎が先制すると、15分、脇坂泰斗がFKから守備の乱れを突いて追加点を挙げる。鹿島はダイヤモンド形の中盤がうまく機能しないのもあったが、ボールをつなぐことができず、川崎に主導権を握られてしまった。

 

だが、後半鹿島は復活する。左サイドに人数をかけ、そこからしつこくクロスを上げると次第に川崎には疲労の色が見られるようになった。その攻めが実ったのは52分。樋口雄太のクロスを仲間隼斗が頭で合わせてゴールを奪った。するとすっかり試合は鹿島のペースに。鬼木達監督は先手を打って選手交代からリズムを取り戻そうとするが、岩政大樹監督もすぐに対応策を繰り出し、川崎を追い詰める。

 

川崎は5人目の交代選手として山村和也を投入すると5バックにしてクリアを続けた。だがそのボールを拾って鹿島が攻め続けるという、少しでも隙があれば同点ゴールが決まる展開になる。しかし、最後はなりふり構わず勝利を目指した川崎がついに逃げ切り、僅差で鹿島をかわした。後半の緊張感はスタジアム全体を覆い尽くした。両者にふさわしい熱戦だった。

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート

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