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【六川亨の視点】2022年4月9日 J2リーグ第9節 大宮アルディージャvsヴァンフォーレ甲府

J2リーグ第9節 大宮アルディージャ1(1-1)3ヴァンフォーレ甲府
14:03キックオフ NACK5スタジアム大宮 入場者数4,838人
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Jリーグは4月9日の時点で、J1リーグは神戸と湘南、J2リーグは大宮の3チームが開幕から未勝利だった。大宮は第9節でホームに甲府を迎えた。3分け5敗の勝点3で最下位(22位)の大宮に対し、甲府は1勝3分け4敗の勝点6で20位。互いにスタートダッシュに失敗したチーム同士の対戦であり、大宮にとってはシーズン初勝利を目指した一戦だったが、先制しながらもミスから失点して1-3の逆転負け。9戦して未勝利というワースト記録を更新してしまった。

右CKから先制した大宮だったが、左サイドを崩され同点にされて前半を終了した。お互い前半の決定機はその1回だけ。試合前の総得点は大宮が7、甲府が8と互いに決定力か、それ以前の攻撃の構築に問題を抱えていた。勝負の明暗を分けたのは、大宮がクリアボールの処理を誤ったCB新里亮からボールを奪ったブルーノ・パライバがGKと1対1から決勝点を決めたこと。さらにパライバはMF三門雄大のバックパスミスを拾うとミドルシュートから3点目を奪った。このシュートはDFに当たって山なりのドライブがかかりGK南雄太の頭上を越す幸運もあった。

相手のミスがきっかけとはいえ、それを確実にゴールに結びつけたパライバは“外国人助っ人”としての役割を十分に果たしたと言える。彼はブラジル国外でのプレーは日本が初めてで、なおかつ来日3試合目での2ゴールである。

試合後、昨シーズン途中で岩瀬健監督を解任してスポーツ本部長に就任した佐野秀彦社長が記者会見に応じ、スポーツ本部長を辞任して新たにスポーツ本部長を招聘することを表明した。前節のアウェー山口戦で0-1と敗れ、辞意を表明した霜田正浩監督の進退に関しては「辞任の意思はないと思った」とし、甲府戦と16日のホーム千葉戦も指揮を執ることを明言した。北嶋秀朗ヘッドコーチを始め、現スタッフにはS級ライセンスを保持しているコーチはいないという窮状もある。

今後は、まずスポーツ本部長を招聘し、その後に今後の強化方針も含めて監督人事や選手の補強に着手するという(移籍ウインドウは閉じている)。しかし、現在の低迷は霜田監督にも責任の一端はあるかもしれないが、資金不足により満足な補強ができなかったフロント(親会社)の責任の方が大きい。シーズン前からこうした結果は予見できた。このためいくらスポーツ本部長や監督を代えても「無い袖は振れない」のだから結果は見えている。J3への降格もやむなしと判断するか、あるいはFC東京のように資金力のある企業への売却を検討するか。

個人的には中途半端に初勝利をあげて問題を先送りするよりも、根本的な解決策を模索するべきではないだろうか。

 

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。

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