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【森雅史の視点】2022年4月6日 J1リーグ 第7節 FC東京vsヴィッセル神戸

J1リーグ 第7節 FC東京 3(0-1)1 ヴィッセル神戸
19:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数13,814人
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11分に山口蛍の先制点が決まり、その後も神戸のペースが続いた。ところが後半に入ると一気にFC東京がペースを握り、54分にアダイウトン、57分森重真人と立て続けにゴールを挙げると、66分にはディエゴ・オリヴェイラがダメ押し点を決めて圧勝した。

神戸の問題点は脆さだった。なぜこれだけのタレントを揃えていながら後半に入るとガタガタと崩れてしまったのか。データを調べると気になる部分がある。

前節までの1試合平均のチーム走行距離は神戸がリーグ12位、FC東京がリーグ17位と神戸が1.898km上回る。だが、チーム平均スプリント回数を比べると、FC東京のリーグ13位に対して神戸はリーグ17位、回数にして29回と大きく差が付いている。その違いが後半、FC東京のダッシュに神戸が着いていけなかった理由とも思える。

また、スプリント回数が20回を超えたのはFC東京が長友佑都(26回)、東慶悟(23回)、安部柊斗(26回)、永井謙佑(28回)、ディエゴ・オリヴェイラ(22回)の5人なのに対して、神戸は山川哲史(22回)、山口蛍(32回)の2人だけ。また特に山口に大きな負荷がかかっていることが分かる。つまり山口のところを外せば、神戸にスプリントする選手はいないと思って攻められたのではないだろうか。

もちろん川崎フロンターレのようにスプリント回数、走行距離がともに高くなくとも勝てるチームがある。だからこの数字だけが神戸の弱点を現しているとは思えない。ただ、神戸のように選手が揃っているチームならば、川崎と同じように相手をいなして体力を温存しながらプレーすることもできるだろう。あるいはチームスタイルをカウンターに寄せて効率よく勝点を稼いでいくことも可能かもしれない。理想は両方が出来ることで、それすらも神戸は出来るはずだ。

2021年のシーズンは神戸の走行距離はリーグ6位、スプリント回数はリーグ9位だった。そう考えると現在の神戸は、走れず、ダッシュできないコンディションだということが浮かび上がる。この状態からまずはどのようなスタイルで上を目ざすのかハッキリすることが大切だろう。そしてそのスタイルをどれくらいの期間かけて熟成させるのかも大切な要素になるはずだ。

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート

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