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【六川亨の視点】2022年3月19日 J1リーグ第5節 浦和レッズvsジュビロ磐田

J1リーグ第5節 浦和レッズ4(3-1)1ジュビロ磐田
15:04キックオフ 埼玉スタジアム2○○2 入場者数24,207人
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「決めるべきときに、しっかり決めておく」――当たり前のことだが、これがなかなか難しい。チャンスを逃しているうちに、相手に数少ないチャンスを決められて敗れてしまう。それが今シーズンの浦和で、6試合を終えて1勝1分け4敗の13位に沈んでいた。絶対的なエースストライカーのキャスパー・ユンカーが負傷で出遅れ、ピッチに戻って来たのは3月2日の第10節・川崎F戦(1-2)と、3月13日の第4節・鳥栖戦(0-1)で、いずれも後半31分からの出場だった。トータルして28分に過ぎないことからも、リカルド・ロドリゲス監督は無理をさせたくなかったのだろう。

しかし磐田戦では今シーズン初めてスタメン出場を果たす。すると前半11分に自身のシュートのこぼれ球を押し込んで初ゴールを決めると、37分にはヒールによるパスからハンドによるPKを獲得してリードを広げた。浦和は足元の技術が確かなGK西川周作から攻撃をビルドアップすることで対戦相手のFW陣に食いつかせ、相手が前掛かりになったところでパスをつないで剥がしていく。その際に相手DF陣の背後には広大なスペースができる。そこを利用するのがユンカーは上手い。加えて今シーズンから加わったMFダヴィド・モーベルグが“挨拶代わり”の巧シュートでJ初ゴールを決めた。

さらに、いつもは岩波拓也が右CB、アレクサンダー・ショルツが左CBに入るが、磐田戦では左CBに犬飼智也が入ったため、ショルツは右CBでプレー。これがハマった。危機察知能力の高いショルツが右サイドをカバーすることで、SB酒井宏樹は心置きなく攻撃参加できたし、ショルツ自身が攻撃の起点となるパスを供給して決定機を演出した。こうして攻守がかみ合ったことで浦和は6位にジャンプアップ。そして第5節を最後にJ1リーグは代表ウィークに入るため4月2日まで中断される。反撃に向け、ようやく好材料が揃ってきたと言えるが、4月はACLの集中開催が控えているだけにコンディションの維持がカギを握ることは間違いないだろう。

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。

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