J論プレミアム

中村憲剛のラジオパーソナリティを夢見る(海江田哲朗)

タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。

 

 

中村憲剛のラジオパーソナリティを夢見る(海江田哲朗)[えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』]七十七段目

 

■KINGだから成立したラジオ番組

「ラジオの前の皆さん、こんばんは。JFL、鈴鹿ポイントゲッターズの三浦知良です」

お、始まったぞ、と僕はパソコンの音量を上げる(radikoで聴いている)。

9日、オールナイトニッポン55周年記念特別番組『三浦知良のオールナイトニッポン Premium』(ニッポン放送)。初のパーソナリティを務めるカズ、Suzuka Voice FMから2時間の生放送である。

55歳のカズ、ANN55周年にちなみ、リスナーから募った「55の質問」に答えながら番組は進行した。

「修学旅行はどこに行きましたか?」と訊かれ、「小学生のときは東京で、中学は京都でしたね」とカズが答える。面白いとかつまらないとかではなく、声音と息遣いを味わうための時間だ。ゆめゆめ、ぶっちゃけ話や過激な下ネタを期待してはならぬ。

現役選手の立場を弁え、世間というものの厳しさ、不確かさをも知るスーパースターだ。自分がどう見られているかを完全に認知するカズは、既定の枠からはみ出すことは決してない。

サプライズゲストとして登場した笑福亭鶴光とのトーク(若かりし日のカズは鶴光師匠のANNを聴いていたという)。兄の三浦泰年監督も出演し、来たる開幕戦、カズを先発起用すると予告する(13日のラインメール青森戦、公言どおりカズはスタメンに名を連ねた)。

トークの合間に流したのは松田優作の「ヨコハマ・ホンキー・トンク・ブルース」、松山千春の「銀の雨」、五木ひろしの「夜明けのブルース」。選曲もブレなしだ。カラオケ好きのカズのこと、ひょっとして一曲くらい十八番の生歌が聴けるのではないかと期待したが、そんな気配は微塵もなかった。

まったくもって、カズでなければ成立しない内容である。90年代、日本サッカーの隆盛期から走り続け、現在もまだ最大のアイコンであり続けている。

 

■中村憲剛こそラジオ向きな理由

ネットに接続さえすれば、ありとあらゆる興味を満たしてくれるコンテンツ飽食の時代。サッカーファンの関心は分散化しており、いまさらレガシーメディアで国民的番組は望めないにせよ、ラジオにも太い柱が一本立ったらいいのになあと妄想する。

You Tube界では第一人者の那須大亮をはじめ、元サッカー選手のチャンネルがぽつぽつ増えてきているが、僕にはどうも圧が強すぎて日常的なお付き合いは疲れる。

この人がラジオパーソナリティなら絶対に聴くぞというなら、僕は中村憲剛の一択である。

 

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