J論プレミアム

総合力が問われる今年のJリーグ(えのきどいちろう)

タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。

 

総合力が問われる今年のJリーグ(えのきどいちろう)えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』]七十六段目

 

 

■オミクロン株の影響がピッチ上へ

2022年シーズンのJリーグが始まった。コロナ禍のなか3年目のチャレンジだ。退任間近の村井満チェアマンは(過去2シーズンにわたって積み重ねてきた知見をもとに)フルキャパでのJ開幕を目指していたが、オミクロン株の大流行によって上限2万人の制限を余儀なくされた。

リーグの感染対策&試合運営は経験に磨かれ洗練されており、それなりに自信を深めていたと思うのだ。観客、サポーターに呼びかける応援制限の内容にせよ、オンライン取材を主としたメディアコントロールにせよ、3年目ともなれば現場は手慣れたものだ。僕らライター稼業の実感としては今シーズンから事前の「体調管理シート」提出が省略され、取材申請がグッと簡略化された。「体調管理シート」は試合日の2週間前からの体温を記入する必要があり、サッカー記者は皆、文句も言わず毎朝体温計を脇にはさみピピッとやっていたのだ。

が、観客席&記者席のオペレーションが熟達する一方で、ピッチレベルが盲点となった。2022年開幕時点のトレンドは「チーム内感染」の激化だ。開幕週のJ1では浦和、FC東京、ガンバ大阪等々で感染者が相次ぎ、U‐18所属の選手を急きょ2種登録するなどした。感染力の強いオミクロン株ならではの事態だ。感染者が出ると濃厚接触者も考慮に入れねばならず、あっという間にチーム編成の危機が出来(しゅったい)する。現場は大わらわだ。判断が難しい。中止・延期に踏み切るべきなのか、無理くり人数を揃えて試合を成立させるか。バックアップの薄さは織り込むしかない。問題はどこで止められるか、何人罹患しているか。

2月末(J1J2第2節終了)の時点でJ2大分、J1のFC東京に中止・延期の試合が出てしまった。大分は開幕(水戸戦)がいきなり飛んでダメージが大きかった。カタールW杯のための前倒し開幕とはいえ、サポーターにとっては待ちに待った開幕戦だ。サポーターのお正月、開けましておめでとうだ。それが飛んでしまうガックリ感&不安感。いや、これはどこのクラブのサポにとってもは他人事じゃない。どんなに気をつけても、どのチームでも、どの選手でも起こり得ることだ。

 

■シーズンオフから大変だった新潟

僕は26日、J2第2節・大宮‐新潟(NACK5スタジアム)を見に行った。この試合は春のポカポカ陽気に恵まれ、両チームいいところも悪いところも両方出た2対2のドローゲームだったわけだが、フタを開けるまではどうなっちゃうんだろうと心配が尽きなかった。

 

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