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【六川亨の視点】2021年4月25日J1リーグ第11節 浦和レッズvs大分トリニータ

J1リーグ第11節 浦和レッズ 3(1ー2)2 大分トリニータ
16:03キックオフ 埼玉スタジアム2○○2 入場者数9,270人
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Jリーグは93年から取材しているが、J1リーグで両チームとも外国籍選手がいない“オール・ジャパン”の試合を取材したのは初めてかもしれない。大抵はブラジル人選手か韓国人選手がいたものだが、浦和の新外国人選手(キャスパー・ユンカー)も大分の新外国人選手(エンリケ・トレヴィザンとペレイラ)も新型コロナの影響で調整が遅れているようだ。

このためピッチの11人だけでなく、ベンチの7人も日本人という珍しい試合になった(大分GKポープ・ウィリアムは名前こそカタカタだが日本生まれの日本人)。

試合は右SB西の移籍後初ゴールで浦和が先制すれば、大分は5試合ぶりとなる得点、右MF町田の2ゴールで逆転に成功。しかし結果的に2失点に絡んだCB槙野が小泉のクロスから2-2の同点弾を決めると、最後はカウンターから交代出場のFW田中のゴールで浦和が再逆転した。

外国籍選手がいないため、“個の力”は感じられなかったが、両チームとも日本人らしい勤勉さでスリリングな試合を演じ、見ていて楽しい試合だった。

そして浦和の決勝点を決めたのは、今シーズン大分から移籍してきた田中である。さらに浦和のリードで突入した5分のアディショナルタイム、96分に左CKから長沢の決定的なヘディングシュートを片手で弾き、直後の右CKでも長沢の至近距離からのシュートをストップしたGK西川(試合前に500試合出場のセレモニーを実施)も大分のユース出身で、プロのキャリアを大分から始めている。

本来なら、この原稿の締めには田中と西川のコメントがマストだろう。しかし新型コロナの影響で監督会見も選手取材もリモートとなっている。そしてリモート取材に登場する選手を決めるのはチーム広報のため記者は選べない。この日で言えば浦和の選手でリモート取材に選ばれたのは小泉と西だった。

移籍後初ゴールと、逆転の2ゴールに絡んだ小泉は、浦和から見れば最高の人選のため納得できる。

しかし違う見方もあるのだ。コロナ以前なら、ミックスゾーンで取材したい選手には自由に話を聞けただけに(相手が応じてくれれば)、やはりリモート取材には不自由を感じずにはいられなかった。

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。

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