なぬ、あのレスターの奇跡が日本のJ2で?(海江田哲朗)
『タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。
北関東ライタートリオ。左から『栃木フットボールマガジン』の鈴木康浩、『デイリーホーリーホック』の佐藤拓也、『群馬サッカーNEWS Gマガ』の伊藤寿学。
なぬ、あのレスターの奇跡が日本のJ2で?(海江田哲朗)[えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』]二十九段目
■今から来年のJ2リーグが怖い
桜は例年より10日以上も早い開花となったのに、球春は遠のくばかり。世界を襲う新型コロナウイルス禍は、終息の気配を一向に見せない。
3月19日のJリーグの発表には、驚かされた。4月3日に予定されているリーグ戦再開後も、変則日程などで競技の公平性を保つのが難しくなってくるのを見越し、今季は全カテゴリーで昇格あり、降格なしの特例ルールを適用すると明らかにした。J2、J3ともに昇格枠は2。2021シーズンのJ1は20チームで行われるところまでが正式に決定済みだ。
この報せを受け、んんっと僕は唸った。昇格の枠が狭まったのを残念がるべきなのだろうが、ひとまず降格の可能性が消えたことの安堵感が先にくる。それより、再開までこぎ着けられるか不透明な状況では、大会のレギュレーションは二の次というのが正直なところである。四の五の言っている場合ではなく、ただただ週末のJリーグが恋しい。
一方、あまりにもひまで四の五の言い合いたい気持ちもあり、タグマ!つながりの『栃木フットボールマガジン』の鈴木康浩に電話をかけた。鈴木は、『デイリーホーリーホック』の佐藤拓也、『群馬サッカーNEWS Gマガ』の伊藤寿学とともに、陽気なカルト集団を形成。北関東ライター通信やYouTubeの『J論J2チャンネル』でグループ活動を仕掛けている。今季は群馬のJ2復帰により、2015シーズン以来、5年ぶりに三者が顔をそろえた。
「一報を知り、僕らの連絡用ツールに『群馬、残留おめでとう!』とメッセージを送ったら、伊藤さんからは『そんなの余裕だよ』といつもの強気な返し。まだニュースを知らなかったみたいで。サトタクさんも入ってきて、『うわこれほんとなの?』『あんまり喜んでるとヒンシュクを買うぞ』と、ああだこうだやり取りしているうち、はたと気づいたんです。ちょっと待てよと」
そう、問題は次のシーズンである。J2の上位2チームが抜け、J1から落ちてくるチームはない。千載一遇の昇格チャンス到来かに思えるが、それだけで事が収まるわけがなかった。
「詳細はこれから決まるとして、大筋では2022年はJ1を18に戻すために4チーム降格する見込みですよね。フツーに考えれば、J2も帳尻を合わせるために降格枠が4つになる。4つの枠に、われら北関東がひとつも入らないなんてことはまず考えられない。チャンスはピンチ!むしろ大ピンチ!」
鈴木はどこまでも気持ちよく言い切る。北関東ライタートリオはすぐさまJ3でJ2ライセンスを持たぬクラブを調べ上げ、そこが上位に食い込んでくれれば降格枠が減ると目算を立てたそうな。まったく気が早いにもほどがある。
ちなみに今季の開幕戦、栃木SC、水戸ホーリーホック、ザスパクサツ群馬は仲睦まじく3つの黒星を並べた。僕の東京ヴェルディも徳島ヴォルティスに0‐3で一蹴されており、人のことを言えた義理ではない。
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