J論プレミアム

探訪!Jサポフリーペーパー文化。こんなバカマイレージの貯め方(海江田哲朗)

タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。

 


会場は各Jクラブのユニフォームでカラフルに彩られた。

 

探訪!Jサポフリーペーパー文化。こんなバカマイレージの貯め方(海江田哲朗)[えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』]二十七段目

 

▼Jサポフリーペーパー10紙が勢揃い

行ってきましたよ、『第二回 Jサポフリーペーパーサミット』。1月25日、会場は東京駅にほど近い『point0 marunouchi』。明日からヴェルディの沖縄キャンプなんだよなあ、準備が追いつかないと気になりつつ、行かずにはいられなかった。

ここに至ったわけは、十九段目の「Jサポフリーペーパー文化。君は『アディショナルタイムズ』を読んだか?」に目を通していただければわかる。新しい読者はいったん戻って、ふむふむとなったあと、以下を読み進めてほしい。

流行りのこぎれいなコワーキングスペース。テーブルに展示されていたのは、個人の制作を含めて全10紙だ。『柏でよりみちアディショナルタイムズ』、『バス小瀬新聞』、『フリーペーパーAlbiWAY』、『KOBE AWAY PRESS(仮)』、『ココグリ』、『おかスポ』、『愛媛FC初心者のための選手名鑑』、『さんふれ☆ぽてと』、『岐阜大好き通信』、『遠征のしおり』。それぞれ独自のカラーを持ち、編集方針や配布形式が異なる。

一つひとつは、手づくりのささやかな媒体なのだが、こうして大集合すると迫力が違った。何もそこまで、と思わされる情念がひしひしと伝わってくる。

あらためて、思うのだ。彼らは何によって駆動するのか。カネか(むしろ出ていく)、モテたいのか(たぶんそんなにはモテない)、名誉か(一部にとどまる)、えのきどさんの提唱するバカマイレージか(これはべらぼうに貯まる。陸マイラー的なスタイル。第二十六段をご参照くだされ)。そんなにほしいか、バカマイル。一度登録手続きをしたら最後、あれは天井知らずに積み上がっていくんだぞ。

イベントは、活動紹介トークセッション、パネルティスカッションと進行し、フリーペーパー制作ワークショップへと移った。参加者がいくつかのグループに分かれ、その場でコンセプトを立てて、紙面をつくっていく共同作業だ。ほぼ初対面で、応援しているチームもバラバラ。本来、そんなのうまくいくわけがないのだが、興味のある人たちの集まりだから、意思統一に苦労しない。各紙の経験豊富なメンバーがグループごとに散ってサポートし、楽しげにキャッキャやっていた。

 


なんかいろいろあるぞと手に取って読み漁る。後発紙がどんどん増えればいいなあ。

 

▼クラブ愛と利他の精神を前にして、10年前の思い出が蘇る

途中、僕はじゃまにならないようにいろんな人に話しかけ、へえ、そうなんすかあと話を聞き取っていく。創刊16周年を迎えた老舗『バス小瀬新聞』の須田康裕さんは言った。
「まだまだ勉強中です。とにかく、スタジアムまで足を運んでくれた人たちに、山梨を好きになってもらいたい」

胸を打たれた。16年だよ、16年。生まれた子どもが高校生になり、かつてJリーグ初代王者に輝き、栄華を極めたヴェルディがJ2に転落するまでの長い歳月が流れている。勢いあまって後頭部を床に打ちつけるほど胸をそり返らせてもいいのに、この慎み深い姿勢はどうだ。

 

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