JリーグにやってくるFC今治に気になる存在がいる(海江田哲朗)
『タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。
ゴール裏最上部で、村上海賊の大旗を掲げる甲冑の人。お元気ですか?
JリーグにやってくるFC今治に気になる存在がいる(海江田哲朗)[えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』]二十一段目
▼FC今治ゴール裏で異彩を放つ存在
FC今治、J3昇格へ――。11月10日、フクダ電子アリーナからの帰り道(J2第40節、ジェフユナイテッド千葉 vs 東京ヴェルディ、スコアレスドロー)、ネットのニュースで知り、おお、ついにと感じ入った。消化不良の感で満たされた泥気分に、その報せはさわやかな風のように吹き込んできた。
同日、JFL第27節の結果、FC今治の4位以内が決まり、来季のJリーグ昇格がほぼ確定。あとはJリーグ理事会の審査を待つだけだという。
僕は、2015年と2018年の二度、今治の地を取材で訪ねたことがあった。季節はいずれも春。愛媛県北東部に位置し、造船とタオルの生産を主要産業とする港町である。県では松山市に次ぐ第二の都市だ。
人通りのまばらなアーケード商店街をはじめ、駅前の風景はどこにでもある地方都市のそれだった。特徴的だったのは、サイクリストの聖地として知られる「瀬戸内しまなみ海道」の拠点で、自転車を多く見かけたことくらいだろうか。
一方、FC今治のホーム『ありがとうサービス.夢スタジアム』は縁日の雰囲気で、ホスピタリティ精神のあふれる空間だった。スタッフは皆笑顔で、やたらと親切だったのが記憶に残っている。
押しなべて温かく、のどかな印象のなかで、ひと際異彩を放つ光景があった。
ゴール裏の最上部で、村上海賊の大旗を掲げる黒づくめの甲冑の男である。今治市には日本最強と謳われた村上水軍博物館があり、和田竜の歴史小説『村上海賊の娘』(新潮社)の大ヒットにより、その名はより広く知られるようになった。
※この続きは「サッカーパック」に登録すると読むことができます。
(残り 1295文字/全文: 2395文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ