西部謙司 フットボール・ラボ

圧勝、圧倒、圧巻。それでも川崎の強さは本物ではないと思える理由。

好調のサンフレッチェ広島に格の違いを見せつけるがごとく圧勝した川崎フロンターレ。完璧に見える試合内容だが、まだ盤石の強さを見せたとは言い切れない部分も感じさせる。はたして王者が求めるべき強さとは?

Jの第二勢力筆頭を粉砕した川崎フロンターレの強さ 

川崎フロンターレとサンフレッチェ広島の上位対決(第29節)は4-0と川崎の圧勝でした。広島は中2日の試合ということもあり、森島司、満田誠、ナッシム・ベンカリファをベンチに置いてのスタートという影響はあったかもしれませんが内容的に完敗でした。

戦術的な完成度で横浜F・マリノスとともに二強といえる川崎ですが、二強に迫る勢力の筆頭が広島です。ハイプレスとショートカウンターというドイツを中心としたヨーロッパサッカーの潮流に乗ったチームでもあります。

しかし、内容結果とも思わぬ大差となりました。手も足も出ない、というか出しているのに通用しないという展開でしたね。

ポイントは広島のハイプレスが回避されたこと。そして広島陣内へボールを運んだ後の川崎の攻守の強さ、とくにハイプレスに対して広島が回避の手段を持たなかったことで、趨勢が決まりました。広島は自分たちの土俵に川崎を引きずり込むことができなかったということです。

戦術的な巧さが光る一方で顔をのぞかせる王者の不安要素 

森島、満田、ベンカリファが先発から外れ、松本泰志もいない。広島の先発に飛車角落ちの感はありましたが、チームとしてやるべきことは明確で自信を持って臨んだと思います。立ち上がりからシャドーに入った川村拓夢の鋭いハイプレスもあり、広島は今季の自分たちのスタイルをぶつけていました。

前からプレスに行くということは、必然的にディフェンスラインは高く設定されます。川崎はそこを着実についていきました。

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