最終ラインの枚数と同じぐらい注視すべき人の数とは。日本サッカーに足りないもう一つの視点
写真:Shigeki SUGIYAMA
サッカー中継は105m×68mのピッチを横長に描く。正面スタンドに設置されたカメラから送られてくる映像をもとに進行する。ゴール裏からの映像が流れるのは得点シーンや雑感などで、メインではない。
よってし、たとえば最終ラインの枚数は、画面越しのファンでも割と容易に識別できる。3バックなのか、4バックなのか、5バックなのか。3バックが5バックになりやすいメカニズムまで捉えることができる。
盲点となるのは68mの方だ。画面手前と奥との距離感は鈍くなる。実際にスタンドで観戦していても俯瞰の目が利く上階でない限り、両サイドと中央とその中間、俗に言うハーフスペースの関係は鮮明にならない。
ピッチ上の選手も同様だ。日本ではあるときまで、中盤から前の選手は左右中央をポジションにこだわりなく移動した。解説者も流動的な動きだとして、それを肯定した。FW、MF、DFの上下の関係は明確だったが、左右の関係は曖昧だった。それぞれのポジションをカバーする感覚のない選手たちで溢れていた。
20年くらい前までの日本ではそれが普通だった。世界との違いでもあった。ジーコジャパンは確実にその中に含まれる。ドイツW杯後に誕生したオシムジャパンになって、ようやくそこから脱したかに見えたが、第2期岡田ジャパンになると再び、元の世界に戻ってしまう。横幅をカバーしようとする意識が代表監督そのものにないことが、改めて浮き彫りになった。
ところが岡田監督は2010年南アフリカW杯本番で一変する。まさに人が変わったかのような采配をした。それまでの岡田ジャパンとW杯本番を戦った岡田ジャパン。この違いに、ベスト16に駒を進めることができた最大の要因が隠されている。何が違っていたのか。
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