荒くれ者風なのにクレバー。イタリア戦でMOMに輝いたスペインのククレジャにSBのあるべき姿を見た
写真:Shigeki SUGIYAMA
グループステージの3巡目を迎えているユーロ2024。スペイン対イタリア、フランス対オランダなど有力国同士が早くも対戦するなど、目が離せない状態にある。
決勝戦まで7試合。先は長い。前々回のユーロ2016を制したポルトガルはグループリーグで、ハンガリー、アイスランド、オーストリアという弱者と同居しながら3戦3分、勝ち点3と大苦戦。グループリーグ3位、全体の15番目の成績で決勝トーナメント(ベスト16)に進出した。なかなか調子が出ず、苦戦を強いられたことで、多くの選手に出番が回ってきたことが結果的に奏功した。全7戦を戦うチームとしての体力がその間に醸成されることになった。
優勝候補の本命、開催国のフランスと戦った決勝戦。前半28分にクリスティアーノ・ロナウドが負傷退場に追い込まれると、ポルトガルは絶体絶命の状況に追い込まれた。そこからのまさかの優勝劇である。番狂わせはチームが一丸となった結果の産物だった。
今大会、下馬評で本命に挙げられていたのはフランスとイングランド。これを開催国のドイツ、スペイン、ポルトガル、オランダ、イタリア、ベルギーが僅差で追う展開と目されたが、この段階でこの前評判に抗う要素は特に見つかっていない。混戦である。
しかし、あえて言うなら4番人気のスペインに上昇ムードを感じる。1–0で勝利したグループリーグ2戦目のイタリア戦を見てそう思った。8強の中で、前回から最もイメージがよい方向に変わったチームだ。
スペインと言えば、巧い選手がひしめく中盤とは裏腹に、ウイングにはこれまで目を見張る選手がいなかった。ユーロ2008、ユーロ2012、そしてその間に開催された南アフリカW杯と、ビッグ大会を3連覇したときも、イニエスタやダビド・シルバ、あるいはセスク・ファブレガスに無理矢理サイドをカバーさせるなどして急場を凌いできた。
それ以降、下り坂に転じた理由でもある。他国に強力なウイングが出現してもスペインにはなかなか現れなかった。少なくとも2022年カタール大会までは。それが今回、一変。スペインはニコ・ウイリアムズ(左・アスレティック)とラミネ・ヤマル(右・バルセロナ)の両ウイングが攻撃を牽引する。
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