サッカー番長 杉山茂樹が行く

当確は大迫と乾の2人だけ。国内組の台頭で大混戦状態に。日本代表レースを探る(3)FW編

岡崎慎司。アピールすべきは多機能性だが
CFの代表レースで、最も優位な立場にいるのは大迫勇也(ケルン)だ。この1年で、代表スタメンの座を不動のものにした。なによりボールがよく収まる。持ち前の技巧もしっかり発揮できている。もはや欠くことのできない中心選手になりつつある。

大迫にその座を奪われ、代表メンバーから漏れることになった岡崎慎司(レスター)は、所属のレスターではコンスタントに先発を飾り、息を吹き返している。ジェイミー・ヴァーディの1トップ脇。4−2−3−1の1トップ下と言うより、4−4−「1」−1の「1」として、ヴァーディの周りでチャンスに絡んでいる。泥臭さは健在。同じく代表レースで苦しい立場にいる香川真司(ドルトムント)、本田圭佑(パチューカ)より、選ばれるべき選手のような気もするが、微妙な立場に置かれていることは確かだ。

ザッケローニ時代は4−2−3−1の3の両サイドでもプレーした。ユーティリティなテイストを発揮し、新境地を開拓したが、所属クラブでのプレーはここ数年、ほぼ真ん中だ。サイドアタッカーの面影はない。ユーティリティ性が発揮される場所は、真ん中の上下に限られている。

ハリルホジッチにクロード・ピュエル(レスター監督)のような4−4−1−1的なアイディアがあるのなら、岡崎の可能性は広がる。大迫をヴァーディに見立て、岡崎をその脇で使おうとする選択肢があるなら追い風は吹くが、それは望めそうもない。

ウイングもできればCFもできるウイング兼ストライカー。C・ロナウド、メッシの両巨頭を筆頭に、サイドでのプレーも可能なFWは、世界には多数存在する。

ハリルジャパンで、あえて名前を挙げるなら浅野拓磨(シュトゥットガルト)だ。右サイドに加え、時にCFとしても出場する。しかし、それならば、岡崎の方が危険な選手に見える。右サイドでもプレー可能だというそのユーティリティ性を、ハリルホジッチに知らしめることができていれば、CFの2番手、3番手候補には止まらないはずだが。

武藤嘉紀(マインツ)も悪い流れの中にいる。ニュージーランド戦、ハイチ戦(いずれも昨年10月)には招集されたものの、直後に行われた欧州遠征(同11月)では落選。そしてその間に、小林などの国内組が、得点ランキング上位を占めるなど活躍をアピール。武藤、岡崎の現状は、国内組の台頭と深い関係がある。

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