サッカー番長 杉山茂樹が行く

西川対東口。槙野対昌子。三浦対植田。長友対車屋。日本代表レースを探る(1)GK、DF編

CB 槙野対昌子。三浦対植田

センターバック(CB)のスタメン枠は、4バックで戦うことは間違いなさそうなので2だ。これまでの経緯から、吉田麻也(サウサンプトン)は当確だろう。あらゆる候補選手の中で、最もスタメンに近い選手と言ってもいい。しかし、プレミアリーグでのプレーは安定しているとは言い難い。W杯のレベルに限りなく近いプレミアで、日本人ナンバーワンCBの危なっかしいプレーを見せられると(昨年末のマンU戦のような)、日本の現実を思い知らされたようで、憂鬱な気分になる。

2番手は槙野智章(浦和)。ミハイロビッチ監督時代の浦和では3バックの左を務めたため、4バックを布く代表チームに入ると、行き場を失う傾向があった。センターバックの控えであると同時に、左サイドバック(SB)長友佑都(インテル)の控えも兼ねた。いわば便利屋として使われていた。しかし、CBとしてスタメンを飾っていた森重真人(東京)が代表メンバーから外れ、さらには、所属の浦和レッズが昨季後半、監督交代を機に布陣を3バックから4バックに変更したことも槙野には幸いした。所属クラブと、代表とのポジションと一致したことで、中途半端さは一掃された。

だが、その座は決して安泰ではない。クラブW杯出場のために欠場したE1東アジア選手権では、槙野を僅差で追う昌子源(鹿島)がキャプテンを任され、3試合にフル出場。中国戦でロングシュートを決めるなど、中心選手としての存在感を露わにした。槙野対昌子。争いの構図は鮮明になっている。

23人枠中、CBの椅子は通常4。吉田、槙野、昌子に続く、4人目を懸けた争いも熾烈だ。E1東アジア選手権で、昌子の次に出場機会が多かったのは三浦弦太(G大阪)。これまで彼と競う関係にあった植田直通(鹿島)は、右SBとして起用された。ユーティリティ性を試されたわけだ。4人目のCBが同時に右SBのバックアッパーを兼ねるなら、その1人分の余剰を他に回すことができる。メンバーのやりくりに頭を悩ませる監督にとって、これは好都合だ。植田はCBのみで起用された三浦より、有利な立場にあるとも言える。

しかし問題はそのレベルだ。植田なら、Jリーグ最終節で怪我をしたため、代表辞退を余儀なくされた西大伍(鹿島)の方が、SBとしてはよほどいい。植田の高さは確かに魅力だが、肝心のSBらしさがない。植田を右SBで使ったハリルホジッチのアイディアに、無理を感じずにはいられない。

期待された谷口彰悟(川崎)は、1試合の出場に終わった。初戦の北朝鮮戦こそスタメンで起用されたが、以降2試合では出番なし。振り返れば、彼は2年前中国の武漢で行われた時も、ハリルホジッチから同じような扱いを受けている。監督との相性の悪さを思わずにはいられない。監督が変われば中心選手になれそうな選手だが。

前のページ次のページ

1 2 3 4
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ